展示会場から帰ってきた高杉さんは、なんとなくふて腐れた顔。あまり不機嫌なところを顔に出さないのに高杉さんらしくない。
「高杉さん、何かあったんですか?」
早速気づいた仲岡さんが歩み寄る。もちろん私も一緒に聴く構え。
「うん、最初と配置が変わってたのよ……、ジュエリーがメインなのはわかるけど、そこまでしなくてもいいのに……頭に来る」
高杉さんは大きく息を吐いて、事務所へと入っていく。
相当気に入らない様子で、私たち面と向かって話そうともしてくれない。
これ以上尋ねても高杉さんの機嫌を損ねるだけ。
仲岡さんと私は顔を見合わせた。
「かなりきてるね……、いったいどんな扱いされてるの?」
カウンターに戻って、仲岡さんが会場の配置図を広げる。ショーケースを邪魔しないようにと気遣って配置しているというのに、ジュエリー部門は何が気に入らなかったんだろう。
「私もこの隅に置くように坂口さんに言われたんです、販売員はいい人がいるのに」
配置図を指差して、ちょっとだけ恨みを込めてみた。もちろん仲岡さんはすぐに察してくれて、何度も頷いてくれる。

