今度こそ、練愛


翌朝目を覚ますと、いつもと違う場所からスマホのアラームが鳴っていた。昨夜妹から届いたメールに返信を書いている途中で眠ってしまったらしい。



母が彼氏に会いに来ると言ってたけれど本当だろうか。確かめようとスマホと開くと新着メールが届いている。



昭仁の名前を見て、ずんと胸に重いものが圧し掛かってきた。私が夢の世界へと旅立った深夜に届いていたようだ。



『今日は本当にごめん、来週きっと出かけよう』



と書いてあるけれど、一緒に居た女性の事は一言も触れていない。



本気で仕事に行ってたつもりなんだろう。
私が何にも知らないとでも思っているのか。



母が来るというから昨日のことは見なかったことにしようかと思ったけど、余計な波風をたたせず昭仁の彼女を続けようかとも思ったけど無理。



もしかすると昭仁と一緒に居たのはただの知り合いかもしれない。同級生か近所の人、妹か従姉妹かもしれないと考えてみたりもした。
だけどあの二人の雰囲気では、そんな可能性は限りなく低いだろう。



一度の過ちや気の迷いぐらい誰にでもあるだろうから、今回だけは穏便に済ませて、今まで通りの関係を続けるのも選択肢のひとつかもしれないと考えたのは事実。



だけど、やっぱり許せない。
これは立派な裏切りだ。