『誕生日おめでとう』
たったひと言が嬉しくて、脱力しそうだった体が息を吹き返す。
なんだかんだ言っても姉妹っていいかも……と思いかけたのも束の間、すぐに突き落とされるのも姉妹だからこそ。
『あと一年、頑張れ!』
母と一緒になって私を急かすけど、まだ彼氏のいない二歳下の妹。あと二年経ったら、きっと同じ言葉を返してあげよう。
ところが続いて書いてある言葉に私は絶句した。
来月友人の結婚式のためこちらにやって来る妹と一緒に、母もついて来るのだという。
観光ではなく私の彼氏に会うために。
あまりにも私が彼氏を紹介しないから、彼氏が居るなんて嘘ではないかと疑っているらしい。
自分の目で真偽を確かめるのだと言っていると。
そういえば、さっきの電話でも母に尋ねられたかも。
ヤバい……
落ち込んでいる場合ではない。
私も真偽を確かめなければ。
昭仁と一緒に居た女性は誰なのか、昭仁は本当に浮気していたのか。昭仁にも何らかの事情があったのかもしれない。
もう既に昭仁と別れた気分になっていたけれど、答えによっては考え直す余地があるのかもしれない。
いやいや、嘘を吐かれた時点でアウトか。
未だに昭仁の肩を持とうとしている私は、やはり『結婚』という言葉に踊らされている。

