「だからね。絶対諦めたくないの。
諦めたら…絶対後悔する。
後悔だけはしたくない」


初めてこんなにも、胸が高鳴ったの。
こんなにも苦しくなったの。

この気持ちがなんなのかはわからない。
だから、


知りたいんだ。




「そうね。私も、慧には後悔してほしくな
い。」


社長はそう言うと
私の右手に握りしめた紙をチラッと見て
口元に笑みを浮かべた。


「私には、そんなエロガキのどこがいいの
かわからないけどね。
まぁ、確かに顔はイケメンだけどねぇ」


「私にも、わからないわよ」


ハァとため息を吐く。


「それを知りたいの。
そのために、羽崎 十哉 を捕まえる。
それから…」


「それから?」


自然と口角が上がり、
口元に笑みが刻まれる。


「言ってやるのよ」

「何を?」













「私は、君より2歳年上の
高校2年生だってね!」


腰に手をあてて
そう言うと、誰かがずっこけた。
………気がした。