“君想い恋詩”




「はい、着いたよー」


運転手がそう言って、車を止めたと同時に
私はさっきの一万円札を運転手に渡し
後部座席から飛び出した。


そして、病院へ向かう。

そのとき後ろから
「お嬢ちゃん、お釣りー!」と聞こえたが
今はそんなの関係ない。


「いりません!!」


と大声で答え、病院の中へと向かった。

勿論、羽崎十哉も一緒だ。



「十哉くん!!」


病院内に入った途端、看護師さんに名前を呼ばれた羽崎。


「美鈴さん!
母さんは……!」


羽崎が切羽詰まって言うと
美鈴さんと呼ばれた看護師さんは静かに
言葉を発した。


「洋子さんは……一命をとりとめたわ。
医師の必死の治療のお陰でね」


「本当……ですか…?」


「えぇ。本当よ」


へなへなとその場に、安心したように
頭を抱えてしゃがみこむ羽崎をみて
にっこり笑って「良かったわね」と
美鈴さんは呟いた。


「 まだ、目は覚ましてないけど
時期に覚めるでしょう。
………あら、こちらのお嬢さんは?」


美鈴さんは
私の方を見て、不思議そうに首をかしげる。


「………………友人です」


羽崎はかなりの間をあけてそう答える。


「へー、友人…ねぇ…」


美鈴さんは、何故かニヤニヤとした笑みを浮かべて羽崎を面白そうに見ている。


「ふふ、まぁーいいわ。
その話はあとで聞くことにして……
洋子さん、病室にいるわよ。
どうする?会う?」


看護師さんに、そう言われた羽崎は
一瞬なにかを考え
そして


「はい。会わせてください」


と、しっかりした声で言った。


「わかったわ。
…その子も一緒に?」


美鈴さんは私をチラッとみて、
羽崎に問いかけた。


私は……


「え、と、私はここで待って」


ます。と言葉を続けようとしたとき


「はい。彼女も一緒に」


と、羽崎は私の言葉を遮って言った。


え…?


「そう。それじゃ行きましょうか」


私が混乱しているなか、
話は進んでいき
私は、羽崎に手首を掴まれ
一室の病室へとつれてかれた。