「あ、あの、十哉くん!」
靴箱に手をかけ、スニーカーを取りだしたとき、いきなり後ろから声をかけられた。
静かに振り向く。
「なに?」
そこにいたのは、知らない女生徒だった。
「綺麗な女の人が、校門前で待ってたよ!
もしかして、十哉くんの彼女さん?」
綺麗な女の人…?
「その人から羽崎十哉くん呼んできてほし いって、頼まれて…」
「………………校門前だっけ?」
スニーカーを下にポンッと置く。
「え、うん、そうだよ」
スニーカーに足をとおす。
「分かった。ありがとう。えっと……」
女生徒の名前をわからなくて言葉が止まった。
「あ!あたし、宮園和歌」
女生徒は俺の様子を察して名前を自ら
名乗ってくれた。
「ありがとう。宮園さん」
お礼を言って、俺を待っている人がいるという校門前へと歩を進めた。
そのとき、後ろでバタッと人が倒れたような気がしたが、、気のせいだろうか。