《十哉side》
「えー、教科書の225ページを開いてー」
黒板にカツカツとチョークが打ちつけられる音が教室内に響く。
俺は窓側の席から窓の外の景色を眺めていた。
シャープペンシルを指先でクルクル回しながら、ふと、4日前のことを思い出す。
震える彼女に
ひどいことを言ってしまった。
傷つけてしまったかもしれない。
でも、
後悔はしていない
突き放さなければいけなかった。
これ以上俺に関われば、
彼女は不幸になる。
だから、これで良かったんだ。
『俺は…』の続きの言葉。
言わなくて良かった。
思わず言いそうになった。
俺にはいう権利なんてないのに。
そこまで考え、ペン回しをしていた手を止める。
そのとき、
授業の終わりを告げる鐘が鳴った。