“君想い恋詩”


ーーバンッ


「羽崎くんっ!!」

更衣室のドアが開くと同時に
生徒会実行委員の声が響く。



「こんなところにいたのか!
もうすぐで、告白大会始まっちゃうよ!
急いで!!」



そう言って眠りかけの俺の襟元をガッと
つかんで、そのままズリズリと引きずっていく。



俺は眠いため、されるがままの状態で
実行委員にイベント会場へと引きずられていった。












































『エントリーNo.79!!
はいっ!これまた生徒参加だー!
クラスとお名前をどうぞ!!』

『3年2組 野々原 花梨 です』

『お相手はどなたですか!?』

『3年1組…羽崎 十哉くんですっ』

『おぉ!これまた羽崎十哉くん!!
これで、なんと79連続だーー!
羽崎くんっ!前にどうぞ!!』



勘弁してくれ。

なんで、俺ばっかりなんだよ。
新手の嫌がらせか。


ハァと今日何回目かのため息をついた。

舞台に上がり、今日79回目の告白を聞く。


『は、羽崎くん!
ずっと好きでした!!
私と付き合ってくださいっ!』

『…無理です。ごめんなさい』


マイクを片手に握り、今日79回目の
お決まりの台詞を口にする。

すると、女子生徒は泣きながら舞台から降り、走り去った。

この反応も、今ので79回目。



『おぉーと!
これまた、断った!!
79人もの女子を虜にするなんて、
なんて罪な男なんだ!羽崎 十哉 ー!!』



好き勝手なことを言っている司会…生徒会実行委員。


誰のせいで、こんなことになってると思ってんだよ。


あとで、覚えてろよ。という意味を込めて
ジロッと実行委員を睨む。

実行委員は気にするようすもなく、
睨んだ俺に向かってニコリと微笑んだ。


今日で何十回目かのため息をついた。