《十哉side》
今年も案の条こうなった。
毎年開催される
葵佐波中学恒例の告白大会。
それに出てくれとの要請。
誰が出るか。そんなの。
全校生徒の前で告白とか、
なんの罰ゲームだ。
「羽崎くんが出てくれたら
すっごく、盛り上がると思うんだよ!」
知るか。そんなの。
「悪いけど、
俺そういうの出る気ないんで」
毎年の如く、適当に受け流す。
「そこを、なんとか!!
頼むよー!葵佐波文化祭の盛り上がりは
羽崎くんにかかってるんだよ!!」
涙声でそう言う生徒会実行委員。
知るか。そんなの。
それに……
「まず、告白する相手がいないし。
俺に頼んでも無駄なので
他をあたって下さい」
ガーンと聞こえるくらい明らかに落ち込んだ生徒会実行委員。
「じ、じゃあ! せめて舞台の上には出てく
れよ~! 今年も、羽崎くんに告白したい
女子たくさんいるから!!」
「嫌だ」
どうせ、断るのに
いちいちめんどくさい。
「……学食1ヶ月ただ券
あげるっていっても?」
実行委員が小さく呟いたその声にピクッと
反応する。
「それに学食幻のカツサンドつけるって
いっても?」
どこから取り出したのか、
1日1個限定の幻のカツサンドをズイッと
前にだす。
「どう?出る?」
「……………」
「それに牛乳もつけるけど」
「………舞台に出るだけだから」
そう俺が、聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声でそう呟くと
生徒会実行委員はニコッと満足そうな笑みを浮かべた。
まんまと、食べ物につられてしまった。

