「母がいるわ。」


”お前の弱さに気づかぬ母か。”


「叔母がいるわ。」


”金しか目のない叔母か。”


「叔父がいるわ。」


”お前の本心を分かろうとしない、暴力で片付けようとする叔父か。”


「愛犬ルシーがいるわ。」


”本能だけで生きている雄犬か。”


「友人がいるわ。」


”お前の本当の姿を知らない友人か。奴等は結局、自分が1人になりたくないから群れるのだ。だから、1人でいたお前の所に来るのだ。”


「クラスメイトがいるわ。」


”自分に得のある奴としかつるまない輩か。”


「好きな人が…………いるわ。」


”どうせ、お前の片想いだろう。相手に他に好きな人がいるのだろう?そんな奴が、お前の味方になるものか!”


「…………。」


”ほうら。結局、お前の味方などおらぬではないか。”


「……ち、」


”お前の記憶に父親はいない。ならば、逆もまた然り。父親の記憶にお前はいない。お前は忘れられたのだ!”