弓道はとても難しかった。
遠くの的にあてる為には、精神を集中しなくちゃいけなくて、自分の集中力の無さを思い知らされた。
私も含め1、年生はほとんどあたらなかった中…
パンッ!
…綺麗に的にあたる音がした。
振り向くとそこには真っ直ぐに的を見続ける圭太の姿。
…トクン。
私の胸が高鳴る音がした。
だけど私は、まだその気持ちが何か気付いていなかった。
入部をして早くも3ヶ月経って7月になり、部員同士仲良くなって、男女で話す事も多くなった。
やっぱり圭太は1番人気。
そして、その圭太と仲が良いのが…
大川舞、同じ1年の弓道部で男子に1番人気のある子だった。
1週間後には合宿があって、そこでは男女2人1組の肝試しがあるらしい。
ペア決めは先輩が決める。もちろんその2人でペアになった。
…何かがモヤモヤした気がした。
私は2番目に人気のある中西君とペアになった。
部員の1人のこなみちゃんは中西君が好きだった。
肝試しが終わった後、こなみちゃんにたくさん話した事とかを聞かれた。
私も…舞に何を聞くのかわからないけど、何かを、聞きたかった。
結局何も聞けないまま、そして特に周りも何の進展もないまま、合宿は終わった。
そのまま9月になり、私と圭太の関係に変化が起きた。
偶然同じタイミングで、私は肘を、圭太は背中を痛めた。
痛めている人は部活中、引かずに休むから、私は圭太と話す機会があった。
自分でも驚く程話すのが楽しくて、とても良い友達になれると思った。