ずるい。翼さんは、ずる過ぎる。


淡々と伝わる言葉は、私を追い込んで逃がしてはくれない。


「つ、翼っ…!」


こうやって、私が簡単に負けちゃう。


「ふは、これはヤバイ」


翼さんが、抱き締める力を強める。


「どうしよ。今なら死んでもいい」


何て言うから、私もつい、にやけちゃう。