Deep grief

「うーん…まだまだあるなぁ」

あれから30分は経ったものの
終わっているのは3分の1だけ
さすがに一人で全員分やるというのは
無理があっただろうか…
あの時七三を引き留めていくべきだったか

そう考えていると教室の扉が
開く音が聞こえた

「よぅ、尚」

声の聞こえる方を見ると
そこには

「大翼!?
あれ、用事は?」

「用事…?あぁ、二宮にでも聞いたか
別に、つかお前何やってんだよ」

「え、先生に頼まれてプリントを」

「アホか
お前一人じゃ2時間はかかるだろ」

「はぁ!?」

正直、図星だ
ただもう少し言葉を選べないのか

「…しょうがねぇな
俺が手伝ってやるよ」

「え、いいのか?」

「いいのかって…
別に俺は構わねえよ」

「あ、ありがとう」

「おう
あとさ、そのしゃべり方
親に怒られねえの?」

「ん、しゃべり方?」

「お前、家柄いい割に若干男っぽい話し方するだろ
何とかだーとか何とかなのかーとかさ」

「あぁ…言われてみれば
いや、とくに言われたりはしないな」

「そっか、それならいいけどよ」


言われてみればそうかもしれない
父さまも母さまも指摘はしてこないので
あまり家柄に支障はないのだろう
だが、大翼が気にするということは
この話し方は気に入らないのだろうか
反省しよう…