「…理子、何かあったのか?」
「…え?」

あれから数日が経ち、理子の頭の中は整理がつくこともなく、グルグルと色んなことが回っている状態だった。

そんな理子が気になった龍吾は、理子に問いかけた。

「…別に、何もありませんが、どうしてそんな事を聞くんですか?」
「…ずっと、浮かない顔だからだよ」

「…」

なんでもない風を装ってみたが、言葉に詰まってしまった。

龍吾は、椅子から立ち上がると、理子の方まで歩み寄り、そっと抱きしめた。

その温もりに、理子は静かに目を閉じた。

龍吾は本当に優しく温かい人だ。

この人を守る、守りたい。

例えそれで、一時的に、お互いが傷ついたとしても…