曇天を見上げて笑えない過去を写す
故郷っていうのは遠いな、と
人の傷も血も舐めてからそんなこと
誰の口が言うのかな

帰れなくてもそれは帰る場所だった
でもそれがもう崩れ去っていく
だんだんと風化するように

こんな風に執着を手放させて
この世とお別れをして

曇り空の下で呟いた

(帰るよ…ここにね)

幻をぬぐって、血をぬぐった
曇天の上にように透明なそこ