ビーナスの愛

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今日は比奈か~。

なんて思いながら歩いていると、トントン、と叩かれた肩。


「財布落としましたよ」


綺麗な声だと思った。


「え?」

「お尻のポケットにいれてると、スリにも合いやすいし落とすし曲がりそうだし不便じゃないです?」

「あ、ああ、ありがとう」


どうやら財布を落としたらしい。

拾ってくれたのは…


「ごめんなさい、余計なこと。気をつけてくださいね世の中悪い人もたくさんいるから…」


なんて綺麗な人。

化粧なんてしてるかしてないか分からないくらい薄かったのに、俺の周りにいる女の子より綺麗だ…。


歩き出す彼女の手首を掴み、止めた。


「名前教えてくれない?何年生!?」


一瞬怪訝な表情をした彼女は口を開いた。


「一澤菜々子…ビジネス学部の一年です」

「俺、篠原京也!経済学部の三年なんだけど、よかったら携番教えてくれない?」