鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~






『こう・・・・・・はくん?』



 それは絖覇のものだった。


 そのころはまだ霊力がなかったためか、眼鏡をしていなかった、絖覇の黒い瞳がジッとあたしを見つめていた。


 あったかい・・・・・・。



『なに?』



『りんちゃんの泣き顔、かわいい』



『へえっ!?』



 あまりに場違いな発言に、マヌケな声が出た。


 ポロポロと頬を伝っていた涙も、その衝撃で止まってしまう。




『りんちゃんがかわいいから・・・・・・泣きやまないと、ちゅー、しちゃうよ』



『・・・・・・ちゅー?』



 なに、それ。


 ネズミさんのこと?


 わからなくて、首をかしげていると絖覇の顔が徐々に近づいてきた。


 なにするんだろ・・・・・・。


 ちょっぴり、ワクワクしながら待っていると・・・・・・。



『いた! りん!


 よかった・・・・・・!』



『おかあさん!』



 絖覇の後ろのほうに、心配そうな顔をしたお母さんがいた。


 こちらに気づくなり、凄まじい速さであたしのもとへくると、あたしに抱き着いた。


 ぎゅう、と上から圧力がかかる。


 優しいお母さんの香りに、お母さんの胸に思わず顔を埋めた。