鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~






「私たちは、ムギのおかげでここまで戦ってこれたの。


 なにも知らない私たちに、魔物と戦うことを教えてくれ、守ってくれた。


 それに、私たちは不老不死という存在で・・・・・・それが、怖かったのよ」



 意味がわからなくて、首を傾げる。


 不老不死であることが怖い?



「不老不死ということは、死ぬこともない。


 両親たちや、友達はどんどん老いていく。


 もちろん、私たちはなにも変わらない。


 愛する者たちと、一緒の時を過ごせない。


 それが、怖くて、どうしようもなく、恨めしかった」



 強大な力の変わりに、普通の人の平穏な幸せを失ってしまう。


 それを考えると、あたしは今、大好きな人たちと過ごすことができて、とても幸せなんじゃないのかな。



「だから、ムギが、生きる希望をくれた!


 生きがいを、与えてくれた。


 だから、嬉しかったの。


 私たちは、そんなムギだから、ムギのためになんでもしてあげたかったの」



 短い髪の姫の言葉に、番人たちは深く頷いた。



「ムギ、みんなはお前を恨んでなんかいない。


 むしろ、とても幸せだったんだ」




 そう、彰さんが言うと、彼はムギの身体を抱き寄せた。


 けれど・・・・・・。



「あ・・・・・・」



 魂だけの彼の腕は、ムギの身体を通り抜けてしまう。


 それでも、彰さんは、ムギを抱きしめようとする。