鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~






「──ムギ!」



「みんな!」



 一筋の涙が頬を伝ったとき、声が聞こえた。


 その人は・・・・・・。



「・・・・・・しょ、う」



 ムギの動きが一瞬止まり、その紅い瞳が見開かれた。


 彰さんは、ゆっくりと空を進み、ムギの前へと進み出る。


 そして、真っ正面から見つめ合った。



「ムギ、もうこんなことは止めるんだ」



「・・・・・・・・・・・・」



「こんなことしても、いいことはない。


 みんなを傷つけてしまうだけだ。


 お願いだから、魔物たちを止めてくれ」


 
 彰さんが切ない声で、ムギに語りかける。


 ムギは、無言のまま、なにも言わない。