鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~






「私はな、もう疲れたのだ。


 どうして、私がこの世界のために戦っていたのか、わからなくなってしまった。


 どうして、この世界を守ろうとしていたのか、わからなくなってしまったんだよ」



 そんな・・・・・・。


 ムギは、あんなに嬉しそうに、どんなに辛くても人のために頑張っていたのに。


 世界を守ることが、ムギの生きがいのように、見えたのに・・・・・・。



「私が、好きになった人は、全て私の前から消えた。


 どれだけ、守りたくても、結局守ることができない。


 私は、私の幸せを願ってはいけないんだ!!」




 途端に止んでいた雷の雨が再びあたしたちを襲う。


 鋭い牙のような竜巻さえも、起こっていた。


 ムギの叫び声は、心の叫び声だった。


 ムギは、みんなが大好きで、またみんなもムギが大好きで。


 共に生きていきたくても、結局、ムギが一度犯してしまった罪のせいでダメになってしまう。


 どんなにその人の幸せを望んでも、ムギが側にいるかぎり、叶わなかった。


 それが、どれほどの苦しみだったのか。


 どれほどの、虚しさだったのか。


 ムギの運命は、とても重いものだったんだ。


 そして、全てに気づいてしまったとき、それはどれほどの苦痛になるのか。


 ムギが、世界を壊してしまいそうなくらい、重いものなんて、想像もつかない。


 

「全てもう、元には戻らない。


 私がいるかぎり、絶望は生みつづけられる!


 だったら!


 私はこの世界から消える!!」




 叫び声と共に、ムギは全力の霊力を、あたしたちに向かって撃ち放つ。


 ぎりぎりのところで霊力の壁を作るも、それも霊力が少ないため、頼りない。