鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~







 ヤダ、どうして?


 自分の喉に短剣の刃を当てられていることを忘れてしまうくらい、あたしの頭の中は絖覇のことしかなかった。


 カタカタと、知らぬ間に身体が震え出してしまう。


 
「なんでっ、なんで絖覇を!」



「ごちゃごちゃ騒がしい」



「ああっ!」



 耳もとで叫んだあたしをうざったそうにしたムギは、顔をしかめるとあたしをまるで紙切れのように、地面に投げ捨てた。


 あたしは絖覇の横に倒れ込む。



「くぅっ・・・・・・!」



 地面に全身がたたき付けられ、あたしは痛みに呻いた。


 痛みで、うまく呼吸が出来ない。


 激痛が、腰の当たりを襲った。


 打ち所が、悪かったのかも・・・・・・。

 
 あまりの痛さに、身体を起こすことも叶わない。