鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~





 夏なのにここはとても涼しい。


 扇風機とか、エアコンとかあるワケじゃないのにね。


 しばらく、幻想的な世界に酔いしれる。



──コンコン。


 その時、部屋のドアをノックされた。


 誰だろ。



「はーい」



 窓辺に座ったまま、返事をする。


 けど、しばらく経っても何も起こらない。


 ・・・・・・ピンポンダッシュならぬ、コンコンダッシュされた?


 不信に思って裸足のまま、ぺたぺたとドアへと向かう。


 床が大理石で出来ているから、ひんやりとしていて気持ちいい。


 アンゼリカさんに借りた白い肩のところがレースになっているワンピースがふわりと揺れた。



──がちゃ。


「誰かいますか・・・・・・っあ!?」



 次の瞬間、強い力で引っ張られ、あたしは部屋の中に転がり込んだ。



──バタン。


 後ろで、ドアが静かに閉まる音が聞こえた。