鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~





──コンコン。



「はい」



 部屋の中から話し声が聞こえて、ナトがドアを叩くと中から返事が聞こえた。


 
「二人とも到着しました」



「お通しして」



 アンゼリカさんの声が聞こえたかと思うと、ゆっくりと中から部屋のドアが開いた。


 
 そこは、壁が本棚で覆われた大きな部屋だった。


 奥には大きな机とソファーがあり、その手前には、客人をもてなすためのガラスで出来た机とソファーがいくつも並べられている。


 そこに、見慣れた顔ぶれが揃っていた。


 お父さんと伯はもちろん、ナディーンさんとエクさん、銀さん、そしてアンゼリカさんがいた。


 あたしたちが入ってきたのを見届けたかと思うと、アンゼリカさんは彼女の傍らに立っていた天使に何かを伝えた。


 きっと、人払いだろう。


 それを聞いたアンゼリカさんの傍らにいた天使は、ドアの前に立っていた天使に何か言うと、自らも一礼して、部屋を出て行った。


 部屋の中には、知り合いしかいなくなった。