鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~





「ヴォオオォォ!!」



 魔物の咆哮で、ビリビリと空気が震える。


 思わずたじろいでしまうような、振動が、全身を襲った。


 痛い!



 魔物が暴れたことによって、そこには大きな空間が出来上がっている。


 木々が無残に倒され、そこは真夏の灼熱の太陽の光がさんさんと降り注いでいる。


 その真ん中に、魔物がいてその場から動かない。


 ──いや、動けない。


 そこにいた、魔物と応戦していたものの力によって。




「ナト! 大丈夫?


 助けに来たわ!」



「っ、りんりん!」



 そう、それはあたしの親友で仲間のナトだった。


 彼女は一瞬だけこちらを向くと、再び魔物を睨んだ。


 そのキレイな顔には、大きな汗の粒が浮かんでいる。


 たぶん最初の爆発が起こったときから、ナトが抑えていてくれたんだ!


 その時間は約20分。


 これだけ持たせてくれていたことは、本当にすごい。



「もう休んでいいわ!


 あたしが代わりに・・・・・・」



「やめろっ!」



 応戦しようと駆け出したあたしを止めたのは──他でもない。



 絖覇だった。