先生のクラスの発表が終わり
次の発表が始まる。


舞台から降りる生徒たちの波の中に

先生を探したけど

見つからなかった。




そのあとも何クラスかの発表があって
途中でトイレに行った。



全生徒が体育館に居るから

校舎の方にはほとんど人が居ない。



こうして人の居ない校舎を見ていると
夏休みの補習のことを思い出す。


教科室の匂い。

先生の笑顔。

二人で食べたアイス。




先生との関係のキッカケ。





先生。


元カノと会って
どんな話するんだろう・・・


告白されたら、なんて返事するの?



やっぱり私みたいな子供より

あんな大人の女性の方が

先生には合ってるんじゃない?




考えれば考えるほど不安になった。


暗い気持ちで廊下を歩いていると
目の前に先生が現れた。


「真北っ」

「先生!ウサギ、可愛かったよ!」


「ははっ!あれ超恥ずかしかったぁ。
カーテンコールの時、
真北のこと見たの分かった?」


「分かったよ!ありがとう。」


「他の奴と手繋いで、ごめんね?」


まるで悪いことした小さい子が
お母さんの顔色を伺うみたいに


私の顔を覗き込む先生。



「ふふっ。平気だよ!」


「ありがとな。帰ってきたら
百倍ぎゅってしてやるから!」


「先生。今から、行くの・・?」


「うん。行ってくる。」





ズキン。



やっぱり、行っちゃうんだね。



そんな平気な顔して、
あの人のとこ行くんだね、先生。



でも、信じなきゃ・・・



「そっか。いってらっしゃい!」


「ん。いってきます。劇、頑張れよ。
観に行けなくてごめんな。」



私の作った笑顔は
ぎこちなかったかもしれない。



先生はまた頭をポンって叩いて
駐車場へ向かった。




「行かないで・・・」




今にも消え入りそうな声で
言ってみても


もう遠い先生の背中には
届くはずがなかった。