どれくらい時間がたっただろう・・・
夕日が沈み終わるまで
先生は何も言わなかった。
言っちゃった・・・
私、先生に告白しちゃった・・・
先生・・・
何か言って・・・・
「真北・・・・・」
先生の体が・・・・
そっと・・・・
離れる・・・・・
「真北。お前の気持ち、すごく嬉しい。俺も、真北は特別大事な生徒だって思ってる。でも、お前の気持ちには応えられない。ごめん。」
ひとつひとつ、言葉をえらびながら
先生は申し訳なさそうな顔で
私を「生徒」の囲いに戻そうとする。
先生が、私を傷つけないように
してくれてるのが
痛いほど伝わってきて
涙が出た。
あれほど欲しかった
「特別」ってことば。
先生の特別になれたのに
私は自分からそれを壊したんだ・・・・
目の前が真っ暗だった。
先生が何か言ったけど、
聞こえなかった。
どうやって先生と別れたかも
どうやって家まで帰ったかも
何も覚えてない。
でも私の体にまだ少し残っている
このコーヒーの香りが
先生と一緒に居たことを証明してる。
後悔しても、後悔しても、後悔しても
もう消せない・・・
この匂いのように
無くなってはくれない・・・・
16歳の夏・・・・
私の恋は、
終わった。