その日の夜、何故かあの日の夢を見た。

血を溜(したた)らせた手で私を掴むあの時の彼がいて、私は必死で逃げようとするのに、彼は全然離してくれない。


しまいには『消えろって言ったよな』と責られる。

その目が、冷たくて、怖くて、泣き出してしまった。


目が覚めた時にはもう起きるはずの時刻を大幅に過ぎていた。

加えて、顔に手を当てれば、自分が涙を流していることを知った。



「……消えるって…何? どうすれば消えれるの?」


そんな時、携帯のディスプレイが光ってることに気付いて手に取る。

メールが来ている。


『おはよう、ちゃんと起きてる?
 一人暮らしは大変でしょ?
 お母さんね、すごく寂しいの。戻ってこない?』


そんなメールはすぐに削除した。

どうしてこうも嫌な事が連続して起こるのだろう。


私はもう一度、布団の中に入った。