「よかったらそれ、もつよ?」



と、うしろから男の子の声がして。



「……え?」



聞きおぼえのない声だったから、驚いてふりむいた。



そこにいたのは……やっぱり見たことのない男の子だった。



上ばきの色からして2年生……あたしと同じ学年だけど、あたし、彼のことを見たことがない。



「えっと、あの……」



もってくれるって言ってくれてるけど、いいのかな……なんて、戸惑っちゃう。



「ほら、それ重たいでしょ? 貸して。……あ、どこまでもっていくの?」



男の子は優しく笑って、あたしの手からすっと荷物をとった。