「いえ、荷物を梨花さまにもたせるわけにはいきません。私には使用人の仕事で培った体力がありますので!」
「そ、そう……? ならお願いしよう、かな?」
大丈夫かなぁ、と思いながらそう答えて3歩進むと北上も3歩進んだけど、グラついていた。
「……やっぱ梨花、もつ」
「す、すみません……」
北上が梨花にいくつか荷物を差しだす。
元使用人とはいえ彼氏だもん、荷物を全部もたせるわけにはいかないよ、やっぱり。
「梨花はもう北上のお嬢様じゃなくて彼女なんだから!」
梨花はそう言ってウインクする。
「ね、じゃあ次、このお店……入っていい?」
梨花はそう言って【PRINCESS HEART】を指さす。甘いデザインが人気の、ロリータ寄りのファッションブランドだ。
「もちろんです」
北上の返事をきいて、梨花はお店に飛びこんだ。

