入り口の真正面には大きなサンタクロースとトナカイのバルーンがあった。その前で子どもがお母さんに写真を撮ってもらっている。



「すごいね、あのバルーン! 大きい!」



言いながら誠の手をぶんぶん振ると、苦笑された。



「そんなはしゃいでさ、子どもかっつーの」



「そ、そんなことないし!」



子ども扱いとか失礼な!



「……ま、行くか。どうせお前、あの甘ったるい店に行きたいんだろ?」



「甘ったるい店、じゃないですー! 【PRINCESS HEART】ですー!」



「あー、そうそう。それだそれ」



誠は適当に言ったけど、あたしが行きたいお店にいっしょに行ってくれるってことはうれしかった。



なんだかんだで優しいじゃん、誠。



普段は意地悪だけどたまに優しくしてくれるところが好き。