そうするのは辛かった。
梨花はもともと感情をストレートに表現するほうだったから、その矢の先を自分で消しちゃうっていうのは正直、もう限界に近かった。
でも、そのかわり桃花ちゃんや美奈ちゃんっていう、新しい大事な友だちを手に入れた……。
だから「きらわれないように」ってますます梨花は自分を見失おうとしてた。
でも……。
「……ワガママ、言っていいの? 言ったら梨花、絶対にきらわれちゃうよ? せっかくできた友だちを、また失っちゃう……」
桃花ちゃんたちは優しいから直接には言わないだろうけど、でも、やっぱりうっとうしいって思われる……。
「……それなら」
ニッコリ笑って北上が言う。
「私にだけ、なんでもおっしゃってください。私は梨花さまがまだ小さい頃からずっと見守りつづけております。笑った顔も怒った顔も泣き顔も、見慣れております。今さら梨花さまのどんな部分をみてもかわいらしいと思うほかありませんので」
「……ふふっ、ありがとう」
そうだね。
北上は梨花が小さい頃からずっといっしょにいてくれてた。

