「ありがとう、北上!」 すっごく怖かったんだから! 「梨花さまがご無事でなによりです」 そして、そういえば、と北上が呟く。 「直樹さまといらっしゃると思っていたんですが……直樹さまはどちらに?」 「あー……はぐれちゃったの」 「では、捜しに行きましょうか」 「……うん」 梨花が歩けば、北上は「下駄、履いてて疲れませんか」と声をかけてくれる。 北上ってホントに優しい。 この優しさは、梨花が「旦那さま」の娘だからじゃない。 北上がもともともってる優しさなんだ。