暗いトーンの着流しだ。



「かっこいい……!」



あたしは思わずそう言ってしまう。



すると誠は、ニヤッと笑って。



「桃花かわいいよ」



そう言ってから、あたしの頭をポンポンとなでたんだ。



「……へ?」



あの誠が、あたしをかわいいって言った?



こんな素直な感じで?



「どうしたの? なにかヘンなものでも食べた?」



失礼だけど、そんなこと言うなんて誠らしくない。



「バカ。俺だってかわいいって言葉くらい知ってるし」



「……へへ、うれしいな」



つぶやいたあと、あたしたちはお祭りの会場へと歩きだした。