しばらく歩いていたとき、俺はあることに気づいた。



……梨花がついてきていない。



かといって先に進んでいるわけでもなさそうだ。



俺は不思議に思って振りかえった。



そこには。



数メートルうしろで俺たちをみつめながら涙目で立つ梨花がいたんだ。



大きな目にたまった涙が、すうっと頬を伝って落ちていく。



「梨花ちゃん!」



安田がそんな梨花をみて心配になったのか、梨花のもとへかけていこうとする。



「ごめん、ちょっと待ってて!」



でも……安田だけは今の梨花に近づかせるわけにはいかない。



俺はそう言って梨花のもとへ走った。



「梨花、大丈夫?」



梨花の視線の高さに顔をあわせてそうきく。