「あれ、俺なんかおかしなことした?」



「ううん、ちがうの」



ただ、珍しいなぁって思って。



なんか、こんなふうな安田をみられたら、今まで悩んでたこととかどうでもよくなってきそうな気がする……。



「あ、ねえ! もうだいぶ高いところまできたよ!」



観覧車もだいぶ高いところまでやってきて、下のほうにみえる人が小さくなってきた。



あとちょっとで観覧車の頂上につくなぁ、ってぼんやり考える。



空もちょっとずつ刷毛で色々な色を塗りかさねたみたいになっていて、キレイだなって思った。



「キレイだね……」



さっき流れていた気まずい雰囲気をどうにかしたくて、あたしはそう呟いた。