だけど。
「……よかった」
そう、つぶやいたとき。
「……桃花ちゃん、都築くん!」
と、お化け屋敷の出口のほうから声がして、みると直樹くんがいた。
誠はいわゆる “都築くん” の顔で、直樹くんに向かって言った。
「ごめんね、小鳥遊くん。桃花がだいぶ怖がってたみたいで……急いで抜けてきちゃったんだ」
「そうだったんだ。ごめんね桃花ちゃん、知らずにお化け屋敷なんて入っちゃって……」
しゅん、とうなだれて直樹くんが言った。
「ううん、いいのいいの! あたしこそちゃんと言わなくてごめんね!」
ってか誠、よくあんな平然と上手なウソがつけるよね、まったくもう!
まあ、怖かったっていうのは事実なんだけどさぁ……。

