「行くぞ」 「わっ……ちょっ、えっ?」 いきなり誠があたしの腕を引いたまま猛スピードで走りだした。 さすがサッカー部、めっちゃ走るの速い……じゃなくて! あたしたちはあっという間に出口をぬけていた。 「ちょっと誠! 直樹くん置いてきちゃったじゃん!」 強引すぎだよ! 誠はムスッとしてベンチに腰かける。 「……ちゃんときいて」 「なんであの男にばっかかまうんだよ」 ちゃんときいてるの、そうきこうとしたのに誠にさえぎられてしまった。 こんなあせった誠をみたのははじめてだ。