そんな速球に、先輩バッターはことごとく空振りをしていく
「ストライク!バッターアウト!」
1人を三振に抑え、次はクリーンナップ
3年生の小畑 稜 (おばた りょう)先輩が打席に立った
小畑先輩は去年、2年生ながら1軍入りをして試合に出ていたメンバーの1人
体が大きく、シニアのなかでもとびぬけて大きい小畑先輩は、スイングスピードのある典型的な長距離バッター
でも今はフォームを崩して1軍から外されている
福井くんの時は、守備のエラーもあって3ベースヒットになったけれど、小畑先輩は納得していない様子だった
ホームラン
きっと、小畑先輩はそれしか狙ってない
カキーン!
そう音がして、ボールが後ろに飛んで行く
「センター!!」
門ちゃんの声が飛び、センターがボールを取りに行く
長打を予想していたのか、守備位置を変えていたセンターにボールが飛んでくる
「よし!打ち取った!」
そう声に出したのも束の間
ボールはセンターのグローブの先に当たり、後ろへと転がっていった
