あきらめない ~ 青空の下のマウンド ~


「・・・で、戸田のことなんだが」


監督がそう言って話を元に戻す


地味にスルーされた…?


「羽山も門脇も受けるときはよく注意してみといてくれ」


「「はい!」」


監督はそう言ってブルペンからグラウンドへと帰っていった


「なんで動くんだろ…」


戸田先輩が自分の左耳を触りながら言う


「無意識だしな…
ちょっとフォーク投げてみろ」


羽山先輩はそう言って座り、ミットを構えた


戸田先輩はそれを見て触っていた左耳を離し、投球動作に入る


ピクッ

パンッッ!


「どうだ?」


「まだ動いてる」


羽山先輩がそう言うと、戸田先輩はまた自分の左耳を触り始めた


「戸田先輩って、嬉しいときに耳動きますよね」


突然、2年生の小田原 友樹 (おだわら ゆうき)先輩が言った


「ああ。
・・・あ!それで動いてんのか」


羽山先輩が納得したようにポンっと手を叩く


「俺って、そうだったんだ…」


落胆している戸田先輩


その様子から、周りの人が戸田先輩に何も言わなかったことが感じられる