あきらめない ~ 青空の下のマウンド ~


パンッッ!


「今のボールよかったぞ!隼人!」


羽山先輩にそう言われて、嬉しそうに笑う戸田先輩。


でも、今…


「山内はどう思った?」


戸田先輩に突然そう聞かれる。


「わ、私ですか?」


そう言うと、戸田先輩は笑って


「お前以外誰がいるんだよ!」


と言った


「あ、そうですよね!
ボールは良かったと思います」


「"ボールは"ってことは、なにかあんのか?」


「その、耳が…」


「耳?」


ポカーンとしている戸田先輩


まあ、ボールのこと聞いてるのに耳がいけないって言われたらびっくりするよね…


「先輩、リトルの頃からそうなんですけど、フォークを投げるとき耳が微妙に動くんです。
相手には全く気づかれてなかったようですけど…知らなかったんですか?」


私がそう問うと戸田先輩は羽山先輩を見て「知ってたか?」と言った


羽山先輩はそれに頷き、それを聞いていた門ちゃんもまた頷いた


「みんなして気づいてたくせになんで言ってくれなかったんだよ!」


そう言う戸田先輩に、羽山先輩と門ちゃんはそれぞれ顔を見合わせて


「言ったよな…?」


「はい、リトルのときに1度だけ」


と順番に言った