あきらめない ~ 青空の下のマウンド ~



「次、インコース低めにストレート」


パンッッ!


「次、アウトコース高めに」


パンッッ!


1つ1つ、正確に投げて行く


「・・・」


「羽山先輩?」


黙ってボールを見ている羽山先輩にそう言うと、


「やっぱお前コントロールいいな!」


と返された



私はニコッと笑って「ありがとうございます!」と返した



コントロールは、私にとって唯一の自慢できること


だから、褒められるとすごく嬉しい


「いや、別に…」


そう言って少し顔を赤くした羽山先輩


「どうしたんですか?」


私がそう聞くと、羽山先輩は なんでもない と言ってまたミットを構えた


構えられたミットに向けてボールを投げようとした時だった


「羽山、受けてくれ」


そう3年生の戸田 隼人(とだ はやと)先輩が言った


「おう。いいぞ!あ、でも…」


そう言って羽山先輩は私の方を見た


「あ、全然大丈夫ですよ!変わります!」


「ありがとな、山内。」


戸田先輩はそう言って、人懐っこい笑顔で笑った