教室に着くと、黒板には座席表が貼られていた
私は39番だから、窓際の後ろから2番めの席だ
私がその席に行こうとすると、啓が突然私の肩を掴んだ
「いきなりな…「おい…」
真剣な表情の啓の目の先を見る
「あそこにいるのって、永岡じゃねーか…?」
そこにいるのは、紛れもなく永岡くん
背が高くなって
髪が伸びて
野球少年という感じがしなくても
「永岡くんだ…」
まだ名前も聞いていないのに、私は永岡くんのところへ急ぎ足で行った
「永岡くん…?」
恐る恐る呼べば、その人は振り返り「山内さん?」と言った
「本当に永岡くん?」
「うん。久しぶり」
永岡くんはそう言って微笑んだ
永岡くんがいる
夢じゃない
ここに、永岡くんがいる
「駿くん?」
「あ、奈緒(なお)」
駿くん…?
呆然としている私を見て、奈緒と呼ばれた可愛らしい女の子は 城咲 奈緒 (しろさき)っていいます とお辞儀をした
「なにかしこまってんの」
「かしこまってなんかないけん!これがうちなの!」
「嘘だな」
「あの…」
まさか
「もしかして、彼女さん…ですか?」
違うよね…?
「あ、はい」
奈緒ちゃんはそう言って照れたように笑った
