羽山先輩は確かに優秀なキャッチャー
だけど、リトルのときは羽山先輩よりも門ちゃんが正捕手として試合に出ていた回数の方が多かった
リトルでの6年生最後の試合
まだ4年生だった門ちゃんを、監督は1回から使った
結局、1 対 0 で負けてしまったけれど、門ちゃんはその試合で盗塁を全部阻止したのだ
実際、私もその試合1イニングだけ投げたけれど、門ちゃんのリードと肩の強さには圧倒されてしまった
" 天才 "
門ちゃんには、その言葉がよく似合う
でも、羽山先輩だって2才年下の後輩に正捕手の座を取られるのは悔しいに決まっている
今年最後の3年生を試合で使うか、才能をとるか
選手の心をとれば、それは羽山先輩の方なのかもしれない
けど、勝ち進むために必要なのは才能
上を狙うチームには上級生も下級生も関係ないというのも否定は出来ない
それが少し、難しいところ
私がそんなことを考えていると、門ちゃんはいつのまにか座っていて、静かにミットを構えていた
