なんで何も言ってくれなかったんだろうとか


今、どこにいるんだろうとか


なにも分からないままもう3年


そして、あの時気づいたはずの私の気持ちもよく分からないままだ


啓もここを通るときはなぜか黙ってしまう


「啓。走ろう!」


「は?」


「いいから!勝負!」


よーいスタート!


自分勝手なタイミングでそう言えば、啓は お、おい! と言って追いかけてくる


走ればすぐすぎる光景


はやく通り過ぎたい


いつまでもモヤモヤするのなら、忘れたい


本当に忘れたい…?


忘れたくない…?


もう、よく分からなさすぎる


「勝ったー!」


先に走り出したにも関わらず、啓は私よりも何秒もはやくゴール(予定)に到着


「ゴールそこじゃないもん」


「え?」


「勝ちー!」


ガッツポーズをして啓を見れば、啓は笑って ずりー と言った


「いつもあそこまでじゃん」


「今日はここなんですよ〜」


「なんだそりゃ」