史花side


4月9日


桜は早くも散ってしまい、少し色が物足りない春の日


今日は、青南高校の入学式の日です


「史花おはよ」


「啓!おはよう!制服似合ってるね〜」


「だろ〜。
史花は…でかいな」


「う、うるさい!これから大きくなる予定なの!」


私がそう言うと、啓は笑って はいはい と言った


私立青南高等学校は、野球などの運動部や吹奏楽部などの文化部ともに全国大会へ行く強豪校であり、毎年有名大学に合格者を出す、まさに文武両道の学校だ


そして、お父さんとお母さんの母校でもある


そうこうしているうちに、あの河原の道を通った


今でも私たちの練習場所になっているその場所を見るといつも思い出す


あの日


永岡くんが投げた球は4番のバットに命中し、逆転ホームランで閑田シニアは負けてしまった


「泣き崩れる先輩たちを、ただ呆然と見つめて居た」


そう啓から聞いた私は、退院してからすぐに永岡くんの家に行った


でもその家にはもう、永岡くんはいなかった


後日、監督から聞いたのは永岡くんの転校