「あ、桜庭いたんだ」
「おう。でももう帰ろうかなって思ってたところだし、あとは2人でどうぞ」
「センキュ!」
「いえいえ。じゃあな」
「うん。バイバイ。
今日はありがとう!」
「おう」
俺はそう言って病室を出た
次の日からは、練習ばかりの毎日だった
1軍に上がったことを伝えられて、史花のために、みんなのために練習にあけくれた
永岡も順調で、練習試合ではノーヒットノーランの完封勝利を収めていた
そして、蒸し暑い5月と6月がすぎ、いよいよ予選大会が始まった
1、2回戦を順調に勝ち進め、全国大会行きが決まる3回戦
当たったのは正裕のいる作楽シニア
作楽シニアは去年全国大会で優勝している強豪チーム
去年も3回戦であたって、うちは負けている
先輩たちにとって作楽シニアは因縁の相手だ
だけど、先輩たちも負けていなかった
1回から5回まで、戸田先輩の粘り強いピッチングで強打の作楽を2点に抑え、それを応援するかのように作楽の投手から3点をとった
2 対 3
閑田が1点リードしている場面で、疲れの出て来た戸田先輩に変わり、永岡が出た
