パンッ!
「ん。OK!」
そう門ちゃんは笑顔で言った
「もう3球チェンジアップ!」
私がそう言ったあとだった
カシャンッ!!
門ちゃんの隣にいた3年生の 羽山 裕二(はやま ゆうじ)先輩が、ボールをキャッチし損ね、ボールが後ろのフェンスに当たった
羽山先輩は、閑田シニアの正捕手
門ちゃんのリードには劣るけれど、リードがうまく、肩が強い
それに、羽山先輩がボールを取り損ねるところなんて、リトルのときも1度も見たことがない
なのに、その羽山先輩が…
一体誰が…?
私は隣を見てその人物を確認する
すると、そこにいたのは永岡くん
私よりも小さい体で、羽山先輩が取れない球を投げたってこと…?
「おい門脇。こいつの球受けて見ろ」
いつの間にか来ていた監督がそう言った
「俺も取れます!さっきのは少しびっくりしただけです!」
羽山先輩が監督にそう言った
「お前がとれないとは言っていない。とりあえず門脇にとってもらうというだけだ。門脇、受けてみろ」
「はい!」
「永岡。本気で投げろ」
「はい!」
私は監督から羽山先輩へと目を向けた
「・・・」
リトルの頃見たことのある光景が2年ぶりに目に映る
立っている羽山先輩が、ピッチャーの球を受けるために座っている門ちゃんを睨んでいるそんな光景が
