【短編】甘い香り-キスの味-

「あっ!!」

悠季は、思い出した様に口を開いた。

「どーした?」

「…あのさ、花火大会やのに、花火見てなくない?」

へっ…!?

「…確かに」

俺は、ちょうど考えてから言った。

「コンビニで買う?」

「…え?」

「コンビニで花火買って公園するか?」

「…うん。公園じゃなくて海行きたい」

「海っ!?」

海って、めっちゃ遠いやんけっ!!

――――なんて言いながらも、コンビニで花火買って海まで来た俺達。

俺は、ライターで花火に火をつけ、片手で持った。

パチパチ…と花火が音をあげる。

「綺麗……」

空いてる方の俺の指に、自分の指を絡ませながら、悠季は言った。

「何で、海が良かったん?」

ふと、疑問に思った俺は悠季に聞いた。

「え?…だって、海と公園やったら、海の方が遠いやん?」

「まぁ、遠いわな」

悠季は、少し間を開けて、照れくさそうに言った。

「じゃあさ、その距離分、亮太の傍に居れるやん?//」

え…?

また、お前は、そんな可愛い顔で俺にそんな事言うんか?

上目遣いで、火照った顔で…そんな甘い声で。

もぉ、止まらねぇよ。

悠季のせいだぞ?

悠季がわりぃんだからな。

俺は、悠季を押し倒した。