【短編】甘い香り-キスの味-

「欲求不満て…何言って……」

「明美って誰――――??」

は?

「…え?お前、明美の事知らんっけ?」

「知らんし――!!」

俺は、拗ねる悠季をあやしながら、口を開いた。

「明美は、俺の姉貴やで?」

「…へ?」

悠季は間抜けな声を出した。そして、暫くして言った。

「え…でも腰痛いって……ヤりすぎてじゃないん?」

「コラ、女の子がそんな事言うな」

俺は、悠季の頭をコツン…とこついて言った。

「昨日な…俺、寝惚けてて、ソファーの上で寝てた明美に気付かんと、明美の上に座ってもてん」

「それが、ちょうど明美の腰の上やって…痛がっててん」

悠季は、なぁる~と言いながら頷いた。……が、また眉間にシワを寄せて言った。

「じゃあ、何であたしの前で言いたくなかったん?」

「…それはっ、彼女の前でそんなアホな話出来ひんやろっ!!」

っだぁ――――!!

分かれよ。もぉ、綿菓子娘め。

恥ずかしい事、言わせてんじゃねーよっ!!

「じゃあ、欲求不満じゃないの?」

「…ったりめーだろっ!!」

俺は悠季のほっぺたをつねった。

「いひゃい…」

涙声で言う悠季があまりにも可愛くて。

「ばーか」

思わず悠季の唇を、自分の唇で塞いだ。