ふいにその日はやって来る。
高校を卒業して早13年…
2年前の秋に結婚した透子も次の誕生日で32歳を迎えるという年の始まり。
久しぶりに高校時代からの親友、由紀の誘いで参加した同窓会。
彼が来ていたのだ。

透子は高校時代、陸上部に所属していた。
特別素晴らしい結果を残したというわけではなかったが、小さいころから割りと走ることが好きで、個人種目で運動部特有の先輩後輩の上関係など人間関係のわずらわしさが少ない陸上競技が自分には向いていると思った透子にとっては、とても充実した日々だった。
そしてそんな毎日の中で、透子にとって特別な存在だった慎二に出会ったのは、高校に入学したばかりの春だった。